ここだけは押さえておきたい!派遣法改正のポイント

2015年の9月30日に施行されることが決まった労働者派遣法の改正案。今回の派遣法改正ですが、具体的には誰にどんな影響があるのかよくわからないという声が多く見受けられます。そんな声をうけて、リクナビ派遣では派遣業界の動向に詳しい、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの豊島 竹男さまにお話しをお伺いしてきました!今回の派遣法改正によって何が変更され、それに対してどのような対応が求められるのかなど、参考にしてみてください。

2015年7月30日時点のインタビュー内容となります。

今回の派遣法改正のポイント!

  1. Point1

    派遣事業の更なる健全化

  2. Point2

    派遣労働者の雇用安定と
    キャリアアップと、
    その支援体制の拡充

  3. Point3

    より分かりやすい
    派遣期間規制へ見直し

今回の改正の総評

派遣労働者にとっておおむねポジティブな内容

今回の派遣法改正によって、派遣事業のルールの整備が進み、派遣で働く人にとって格段にわかりやすくなると思います。

さらに、派遣労働者の「今後のキャリアアップや雇用継続の推進」などが明文化され、派遣で働く人にとってとても良い方向に進む予定です。

一方で、3年ごとに仕事を変更しなければいけなくなるので、派遣で働く人自身がスキルや資格等を把握しアピールしていく必要がでてくると思います。それに伴い、派遣で働く人自身の自律的なキャリア形成や、関連情報の収集が大切になります。

今回、インタビューさせていただいた、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの豊島 竹男さま

  • Point1
  • Point2
  • Point3

改正内容

特定派遣事業と一般派遣事業の区分が廃止されます

特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区分を廃止し、すべての労働者派遣事業を許可制にすることで、
派遣事業の更なる健全化が期待されます。

今まで、特定労働者派遣事業は届出だけで事業を行うことができたため、コンプライアンスが徹底しにくい側面がありました。しかし、これからは全ての事業が許可制になり、ルール違反をした場合には許可の取り消しなども可能になるので、派遣事業の健全化がより進むと思われます。

改正の影響とその心構え

●派遣で働く人

影響
規制強化ではあるが、派遣業界全体の健全化がより進み、派遣で働く人々の保護が期待されます。
心構え
リクルートジョブズによる派遣の平均時給調査の結果からも派遣の平均時給は次第に上昇しつつあり、派遣も多様な働き方の1つと考えられるようになってきています。今回の派遣法改正で派遣業界全体の健全化が進むことで、より安心して、自身のライフプランに合った派遣での働き方を実現しやすくなるのではないでしょうか。

●その中でも、特定派遣で働く人

影響
特定労働者派遣事業のみを行っている事業所の中には、今回の派遣法改正によって事業自体を終了させる、または売却する事業所も出てくると思われます。
そのため、そういった事業所に勤めている特定派遣労働者に関しては、今後の雇用環境に多かれ少なかれ変化が出てくるでしょう。
心構え
派遣先企業から見て、労働内容の実質的な変化はなく、雇用環境という点で請負化するのではないかと考えています。

改正内容

正社員化を含むキャリアアップ支援体制の拡充や、雇用安定措置が義務化されます

今回の派遣法改正によって、派遣で働く人に対して以下を行うことが派遣会社に義務付けられます。

  • ・計画的な教育訓練の実施
  • ・希望者へのキャリアコンサルティングの実施
  • ・派遣期間終了時には、雇用安定措置を実施

※雇用安定措置とは…

  1. (1)派遣先への直接雇用の依頼
  2. (2)新たな派遣先の提供
  3. (3)派遣会社での無期雇用
  4. (4)その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置

今回の法改正で「雇用の安定とキャリアアップ」が具体的に明文化されており、派遣で働く人にとってはとても良い方向性に進んでいると思います。特に、キャリアコンサルティングを受けることができるようになるという点に関しては、将来のキャリアプランを考える上でとても恵まれた環境だと言えるでしょう。

また、雇用安定措置の義務化によって自身の希望の働き方に合わせて派遣か正社員かを選択できるようになっていくだろうと考えており、多様な働き方の実現に向けて進んでいる印象を受けています。

一方で、実効性に関してはまだまだ課題があると感じています。義務付けがどれほど厳しく行われるのかが具体的に示されておらず、最終的な結果が求められていないところが気になります。

改正の影響とその心構え

●派遣で働く人

影響
キャリアコンサルティングを受けながらキャリア形成が可能な環境は、派遣で働く人とって大きなメリットと言えます。
また、雇用安定措置が派遣会社に義務化され、自身のライフプランに合わせて正社員で働きたい人は正社員で、派遣で働きたい人は派遣でという選択が可能になってくるのではないかと思います。
心構え
派遣で働く人にとっては、キャリアコンサルティングが受けられるようになるという大きなメリットができますが、その一方で、派遣で働く人自身の自律的なキャリア形成が求められる側面もあるでしょう。そのため、法改正や派遣会社に関する情報の収集などの観点の重要性は増してきます。
また、キャリアコンサルティングに関する情報を始め、派遣会社側の情報開示が今後進むのではないかと思われますので、そういった情報をもとに、自身に合った派遣会社を選定する眼をやしなっていく必要があるでしょう。

改正内容

専門26業務の派遣期間無期限を廃止します

専門26業務が事実上撤廃され、派遣の期間制限が統一されます。
今まで、専門26業務にどの業務が該当するのかの判断が難しい部分もあったのが実態ですが、今回の法改正によって専門26業務が事実上撤廃され、業務の種別に関係なく以下の新しい期間制限制度が設けられます。

  • (1)事業所単位の期間制限:派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは3年を上限とする。
  • (2)個人単位の期間制限:派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受け入れは3年を上限とする。
事業所単位の期間制限:
派遣先の事業所単位の期間制限が原則3年となる。しかし受入開始から3年が経過する時までに過半数労働組合等から意見聴取をした場合には、さらに3年間延長して受け入れることができる(過半数労働組合等の意見聴取は3年ごとに必要)。
個人単位の期間制限:
同一の組織単位(課)での期間制限が原則3年となる。しかし受入開始から3年が経過する時までに過半数労働組合等から意見聴取をした場合には、他の組織単位(課)で働くことができる(過半数労働組合等の意見聴取は3年ごとに必要)。

現行の複雑な制度が整備されて、派遣先も取り扱う業務について専門26業務に該当するのかの判断をする必要がなくなるので、そういった現場での混乱を防ぐことができると思います。そもそも業務ごとにルールを設けていたこと自体に無理があったのではないかと感じています。

一方で、今後3年ごとにスキルや能力が問われるようになっていく可能性もあるので、派遣労働者自身も自分のスキルや能力について目に見える形でアピールしていく必要が出てくるでしょう。

改正の影響とその心構え

●全派遣労働者

影響
派遣先を変えるのか、それとも業務内容を変えるのかという選択を3年ごとに行うことになるので、自身の今後のキャリア形成について考える機会が増えるのではないかと思います。
しかし一方で、3年ごとにスキルや能力が問われる環境になっていく点や、同一組織単位で3年までしか働けないという点からも、少し厳しい状況ではあると思われます。
心構え
自身の今後のキャリアを形成しやすくなる一方で、3年ごとにスキルや能力が問われる厳しい環境でもあります。自身の希望通りのキャリアを形成するためには、目に見える形でスキルや能力をアピールできるような資格などを積極的に身につけていくのが良いでしょう。

●専門26業務従事者

影響
今後3年ごとに、仕事内容を変更するか、それとも派遣先を変更するかの選択を迫られるようになります。今まで、専門26業務事業者として長年同一企業に勤めてきた派遣労働者に関しては、今後の働き方について考えなければいけなくなると思います。
心構え
今後3年ごとに、今後の自身の働き方について明確にしなければいけないでしょう。
さらに、専門的なスキルが必要な業務従事者に関しては、一般的な業務以上にスキルや能力の可視化が重要になってくると思われます。
  • Point1
  • Point2
  • Point3

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