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脳トレジム「ブレインフィットネス®」で聞いてみた!20代、30代の「何だっけ?」の原因と解消法

立ち上がったはいいものの、「あれ?何をするつもりだったんだっけ?」
「会議が始まるよ」と知らされて、「あれ?会議あるって聞いてましたっけ?」
なんて、身に覚えがある人はいませんか?モノ忘れは誰にでもあるもの。でも、それが頻繁だったり、大事な要件を忘れてしまったりするようだと困りますよね。

今回は、最近若い人に増えているといわれるモノ忘れ、20代、30代の「何だっけ?」の解消法を、話題の脳トレーニングジム「ブレインフィットネス®」にお邪魔し、研究者で脳科学者の杉浦理砂さんに教えていただきました。
 

その「ど忘れ」「うっかりミス」、脳のオーバーワークのサインかも!?

――「近頃モノ忘れがひどくて……」という悩み、最近はシニア層だけでなく20代、30代からも多く聞かれるといいます。これはどうしてでしょうか。

最近は「スマホ認知症」という言葉をよく耳にするようになりましたし、モノ忘れ外来などを訪れる患者さんの若年化も進んでいるようです。情報通信技術の発展により、国内外のさまざまな情報がいつでもどこでも入手可能になったことで情報過多になり、またマルチタスクを行うことも多くなりました。こうした過剰な負荷環境では脳疲労が溜まりやすくなります。20代、30代のモノ忘れの多くは、脳の疲労による働きの低下が考えられます。脳には休息が必要です。現代のビジネスパーソンは、脳を酷使しており、上手に休ませることができていないのです。

さらに情報過多な状況下では、受動的に安易に情報を選択する傾向が強くなり、情報の取捨選択をし、自分で考え、判断・創造するなどの能動的な思考や認知力を維持発展させる主体性が失われやすくなります。また、いつでも簡単に情報を入手できるため、自分の頭で覚えておく必要もなくなり、昔に比べ、しっかりと記憶しておこうという意識も薄れていると思います。

その他、ストレスを抱えている人や、うつ症状に悩む人も増えています。ストレス過多な状況やうつ病は、記憶を担う海馬とよばれる脳部位にダメージを与えることも報告されています。

このようなさまざまな原因により、若い人でも認知症と似たような症状が現れることが考えられます。

――脳の疲労を放っておくとどうなるのでしょうか。

イライラや倦怠感を覚え、仕事の効率が落ちます。さらに放っておくと、疲労が蓄積した状態が当たり前になり、さまざまな認知機能が低下し、ますます脳を酷使するという悪循環に陥ってしまいます。この悪循環を断たずに何年も脳を酷使し続けていると、認知症発症のリスクが高まる恐れがあります。
 

とりとめのない考えごとが、脳の疲れを倍増させる!

――脳の疲労をとるには、どうしたらいいのでしょうか。

正しい方法で脳を休ませることです。ぼんやりしているときは脳が休んでいると思っている人も多いと思いますが、実は、ぼんやりととりとめもなく考え事をしているときのほうが、仕事中にひとつのことを考えているときよりも、脳は疲れるのです。

たとえば、見積書をつくることに集中している人と、ぼんやりしながら「明日のプレゼンはうまくいくかなぁ」「あぁ、今日のあれは失敗だったな」などと、あれやこれや決着もつかないネガティブなことを考えている人とでは、ぼんやりしながらあれやこれや考えている人の方が格段に多くのエネルギーを消費していることが分かっています。

――ぼーっとするのは逆効果ということ!?

あれこれと雑念がわいてしまう場合はそういえます。脳は、意図的に休めないと休まらないのです。

――脳を意図的に休ませたり、疲れさせないためには、どのようにすればいいのでしょうか。

いくつかの方法がありますが、脳トレーニングジム「ブレインフィットネス®」では、次の3つに着眼しています。

・ストレスケアとしてのマインドフルネス
・睡眠の改善
・食事の改善

脳の健康維持を目的にする場合は、脳トレゲームで脳を鍛えることも有効ですが、脳疲労が溜まっている若い人の場合は、鍛える前に、まずはしっかり休ませることを優先するといいですね。
 

自分でできる、脳の休め方。大切なのは睡眠、食事、ストレス対策

――日常生活の中でできる、脳を休ませる具体的な方法をお教えください。 

はい。まずは睡眠時間を十分にとることが大切です。睡眠は、脳にとっての掃除の時間。睡眠中に脳内の老廃物が排出され、認知症の原因物質といわれるアミロイドβも除去されると考えられています。

しかし、現代人の多くは睡眠が足りていません。「6時間寝ているから大丈夫」という人もいますが、睡眠時間が4時間、6時間、8時間の人を対象にした研究では、4時間睡眠はもちろん、6時間睡眠でも、続けるうちに注意力が低下することが示唆されました。脳の疲れが払拭できていないわけです。ど忘れやうっかりミスが気になるときは、あと1時間多く寝るように心がけてはいかがでしょうか。

寝る直前までスマホやパソコンの画面を見ていると、睡眠の質が低下するので、早めに電源を落とすこともポイントです。

食事に関しては、バランスよく食べるのは当然として、血糖値のコントロールを心がけることが大切です。血糖値は急に上昇すると、下降も急になり、低血糖を引き起こし、イライラや眠気、集中力の低下につながります。したがって、特に昼休みに血糖値を急に上げるものを多く摂るのは控えたほうがいいでしょう。血糖値を上げる食べ物の代表は、炭水化物。上昇を緩やかにするのは野菜などの食物繊維です。ラーメンを食べるときは先に野菜を食べるなど、工夫しましょう。
 
――ストレス対策はいかがでしょうか。

マインドフルネスはオススメです。また、仕事の合間にときどき深呼吸や伸びをするのも、脳の緊張を緩めるいい方法です。

――マインドフルネスとは何でしょうか。

「今この瞬間に意識を向けること」です。たとえば呼吸に集中します。すると脳の過活動が治まり脳を休めることができます。いろいろなことに意識が向くと疲れるのであえてひとつのことに集中するのです。

ご家庭でするなら、何かの音に意識を向けるとやりやすいですね。たとえば、CDプレーヤーとスマホなどを使い、同時に波の音や鳥のさえずりなどを流し、その中で意識が向きやすいものに集中する。加湿器の音やお風呂場の水滴の落ちる音が集中しやすいという人もいますし、電車の中で自分の呼吸に集中するという方法もあります。

余計なことを考えず、ひとつのことに集中すれば脳は休まります。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、最初は3分間でもいいので、寝る前やお風呂の中でやってみることをオススメします。

――脳を休めるのに十分な時間がないという人もいると思います。最後に、仕事中など、なるべく脳を疲れさせないようにするためのアドバイスをいただけますか。

脳は複数のことを並行して処理する際に、非常に負荷がかかります。普段、職場で何気なくやってしまっている、会議中に資料をまとめるとか、電話しながら一方でメールを読むといったことは、脳の酷使につながります。過度なマルチタスクを避けてひとつのことに集中するとミスも減って効率が上がると考えましょう。
 

まとめ

「現代人は、気付かないうちに脳を酷使しています。ど忘れやうっかりミスが続いたら、脳をケアして欲しいものです」と杉浦さん。モノ忘れというと、脳トレゲームなどで脳を鍛えなければ!と考えがちですが、若い人の場合、鍛える前にしっかり休ませることが重要だということが分かりました。脳を意識的に休ませたうえで正しくトレーニングし、脳本来の力を発揮したいですね。

※この記事は2018年2月時点での情報です。
 

記事監修:杉浦理砂
脳科学者。「ブレインフィットネス®」を運営する株式会社イノベイジ ニューロサイエンスラボ ディレクター。東芝の研究開発センターにおいて、エレクトロニクス・マテリアルサイエンス分野の最先端の研究・開発に従事したのち渡米。米国スタンフォード大学医学部・心理学部にて、認知神経科学の研究に従事。2009年より、首都大学東京大学院において、認知神経科学の研究に就く。2017年4月より現職。首都大学東京特任准教授を兼任。工学博士(応用物理)。
 
 

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