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「今日あった嫌なこと」に心を乱されない!ヨガの呼吸と瞑想で自己肯定感を高める方法

私たちがいつも意識せずに行っている「呼吸」。人は1日で平均2万回も呼吸をしていると言われています。この「呼吸」は、生命維持管理の機能の中で、唯一自分でコントロールできるものです。そしてそのコントロールしだいで、精神面に良い影響を与えることもできます。たとえば、意識して大きく深く呼吸をすることで心の緊張を緩めることができます。

呼吸には、実はさまざまな方法があります。その中でも、ヨガでの呼吸法はとても奥深いものです。そこで今回は、ヨガにおける呼吸やその方法、また「思考する瞑想」でのリラックス方法などを、ヨガ&アーユルヴェーダアドバイザーの尾股あき子さんにお聞きしました。

体・意識・呼吸が連動していれば、掃除でさえもヨガになる

人は呼吸を自分でコントロールできるものだと言いましたが、それは意識的に呼吸をする場合。実際にはそのほとんどが無意識の中で行われており、心身の状態によって変化をしています。

例えば疲れていて体調が優れない場合や緊張状態にある時には呼吸が浅くなっていることが多く、逆にリラックス状態にある時には深い呼吸ができていることが多いとされています。呼吸によって緊張状態の時に優位になっている交感神経が刺激され、全身に酸素がいきわたることで心身の緊張が緩んで、副交換神経が優位となるからなのです。

このように、呼吸は体だけでなく心にも大きな影響を与えています。そうした呼吸法を大切にしているのがヨガです。

一般的にヨガと聞くと、特徴的なポーズが着目されがちですが、実はポーズよりも体、意識、呼吸の3つを連動させることを重視しています。この3つの連動がきちんとできていれば、どんな動作であれヨガだと私は考えています。例えば、掃除ひとつとっても窓拭きをする際に大きく拭きながら、腕や体が伸びた時に息を吸い、縮めた時に息を吐くといった動作を意識しながら行えばそれがヨガになります。

それは、ただ呼吸をしているという行為にも当てはまり、「今、私は息を吸っている。吸っているから体が伸びている」と意識することで、自分自身を見つめることに繋がります。普段、外側に向いている意識が自分の身体、内側に向くので、ヨガをしていると神聖な気分になるのかもしれませんね。

呼吸で、外に向いている意識を自分に向ける

ちょっと話は飛びますが、今の時代、自己肯定感の低い方が多いと感じています。なぜかを考えてみたのですが、ひょっとして小さいころから自分を抑えて空気を読み、周りに合わせながら育ってきたからなのではないかと思うのです。

「自分ってなんだろう」と思った時に、「あの人がこう言っていたから」と他人からの評価を自分の評価にしてしまうこと、ないでしょうか。私もヨガを始める前はそう考えてしまうこともありました。でも、それはあくまでも人から見た自分であり、本当の自分ではありません。

ヨガは体、意識、呼吸を連動させるために自分の体を見つめ直す行為。それは自分を見つめることでもあり、外側を向いている意識を自分の内側に向かせることになります。他人からの評価ではなく自分自身を見つめることで、自分を認めることができるようになり、自己肯定感を育むことができます。自分に素直になり、優しい気持ちなれるなど、ヨガが精神面に与える効果は絶大です。

「今日」という名の映画を見よう。寝る前の振り返り瞑想

とはいえ、私たちの生活は分刻みでスケジュールされ、ストレスが溜まっていきやすいです。週に1回でもヨガなどに通えればいいのですが、その時間が取れない方もいるでしょう。

そんな方やストレス解消におすすめなのが、寝る前の瞑想です。

瞑想は「“無”になれ」と言われますが、実際には「何も考えない」というのはとても大変です。そこで私が推奨している瞑想が、「思考する瞑想」です。思考といっても具体的に何か物事を考えるのではなく、頭に思い浮かんだことをただ見ていくだけの瞑想です。

方法は簡単。夜、寝る前に布団の中で深呼吸をして心を落ち着けたら、今日1日で起こったことを朝から時系列で思い出すだけです。「朝起きて、ご飯を食べて、電車に乗った。忘れ物をしちゃったけど、間に合わないから取りに帰れなかった」など、まるで今日1日の出来事を映画のように見返すのです。

ポイントは、あくまでも「思い出すだけ」である点。「忘れ物をしてしまったから、明日は気を付けよう」といった反省や改善案は、いりません。「忘れちゃったねぇ」という事実確認のみです。このとき、呼吸は深い方がいいのですが、気にしなくて構いません。呼吸を気にすると振り返りが上手くいかない場合がありますので。

この行動の振り返りを、夜布団に入るまで思い出すのですが、ほとんどの人が振り返りの途中で穏やかな眠りについてしまうと思います。寝てしまっても全然構いません。瞑想の目的は、その日の行動を振り返ることではなく、自分の行動を客観的に見ることで自分を見つめることができるようになること。そして、できる範囲での記憶の整理をしたいからです。

嫌な記憶は感情のラベルを付けずに、記憶のタンスにしまう

人は、自分の頭や感情で考え、感じて行動をしていると思われがちですが、実際には多くの判断基準が潜在意識の中にあります。これまで経験してきたことが潜在意識下に蓄積され、そこから好き、嫌い、やってみよう、やめようといった判断をしています。

その潜在意識に働きかけているのが記憶です。記憶が自分の中で定着する時に、「嫌だった」といった感情と一緒だと、そのモノや行為が「嫌だったもの」として記憶されてしまいます。

寝る前の振り返りの際に、感情などと紐づけないことで、ただの「事実」として記憶され、潜在意識に嫌な感情を持ち込むことを防ぐことができるのです。

<実践:“思考する瞑想”の方法>

1. 布団の中で体の力を抜く

2. 大きく深呼吸

3. 「これから無判断で振り返るよ」と自分自身に言い聞かせる

4. 朝起きてから夜寝るまでの行動を、判断せずにただ思い出す

慣れないうちはどうしても「ああすればよかった」「嫌なことがあったな」など思ってしまうものです。そうした時は、「私は嫌だったんだなぁ」など、「私は~~だったんだなぁ」としてみましょう。「だなぁ」と思うことで、客観視できていることになります。

<実践:深呼吸のコツ>

1. みぞおち周りに手を置く(置き方はなんでもよい)。

2. 鼻から息を吸って、お腹を膨らます。

3. 鼻から息を吐いて、お腹をへこます。

※2と3の時に、お腹が目に見えて凹凸するように意識しましょう。

<実践:デスクで簡単にできる“屍のポーズ”>

「思考する瞑想」時やその前、オフィスでの休憩時間など。ちょっと落ち着きたい、リフレッシュしたいという時は「屍のポーズ」で体中の緊張を解いてみましょう。

椅子に座りながらもできるので簡単です。

1. マットや椅子に腰かけ、体の力を抜く。

2. 体が床に沈み込むようなイメージで、無理のない呼吸をする。

3. 頭の中は「思考する瞑想」同様に、思い浮かんだことを見るだけ。

私らしくあるために

私が自分らしくあるために普段から実践していることは、「ありがとう」を1日1つ、心の中でもいいので呟くことです。何でもいいのです。ただ、改めて考えるとやりにくい人もいると思いますので、「○○があるからこそ○○できる」という考え方をすると、どんな時にも感謝の念を抱けるようになると思います。

この考え方は、以前に訪れた高野山のお坊さんからお聞きしたもので、「農家の方が野菜を育ててくれるからこそ、私は美味しいご飯が食べられる」でもいいのです。「こそ」というキーワードを使うことで、周囲に対して「ありがとう」の気持ちが溢れてくるのではないでしょうか。

ヨガの呼吸法を通じて、意識を自分に向けるようになれると、あるがままの自分に気が付けるようになります。外に向かっていたベクトルを自分に向けることで、本当の自分になれる。それがその人の美しさであり、本当の自分を見つけることこそがヨガの効果なのだと思います。

 

尾股あき子/ ヨガ&アーユルヴェーダアドバイザー
プロフィール
OMA中目黒主宰者。「ココロもカラダも健康で幸せになれる」「楽しくワクワク学べる」「ホッと安心できて自分らしくいられる」をコンセプトに、ヨガやアーユルヴェーダ、アロマのクラス、ワークショップを開催。

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