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もう、やるべきことは後回しにしない!「すぐやる私」になるための「脳」のトリセツ

「やるべきことがあるのに、ついスマホを見ていたら時間が経っちゃった!」そんな自分に罪悪感を抱いたことがある人は多いのではないでしょうか。どうしてやるべきことがあるのに、すぐできないのでしょう……。
そこで今回は、作業療法士である菅原洋平先生の著書『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』を基に、「すぐやる私」になるための方法をご紹介します。
「今すぐやるぞ!」と気合を入れなくても、無理にモチベーションを上げようとしなくても、脳に入る情報を変えさえすれば、すぐに行動できる人になれるのです。

脳に与える情報を変えれば「すぐやる私」になれる!

すべての行動は、脳から何らかの指示が出され、それに体が反応することで行われています。そのため、脳の領域のうち、体を動かす指示を司る部分に損傷を受けた人は、リハビリテーションの際、体の動きよりも「脳の仕組みや性質」に注意を払うほうが重要とされています。この仕組みは、脳に損傷を負っていない人の行動を変える際にも応用できます。
脳は、見る、聞く、触るという情報から判断し、次に行う行動を体に指示しています。逆を言えば、何を見せるか、何を聞かせるか、何を触らせるかによって、脳の判断が変わり、行動も変化するのです。

“目”から入る情報を変える!

脳は目から入る情報に、もっとも影響を受けます。そのため、目から入る情報を意図的に操作することで、脳を「すぐやる脳」に仕向けることができるのです。次に例を挙げて見ていきましょう。

■他のことに気を取られて、すぐ行動に移せない

脳は目に映るすべての物事に対して、無意識のうちにどう行動するのかを判断しています。
たとえば

・スマホが近くにあったら手に取って、なんとなくSNSを見始める
・テーブルの上にリモコンが置いてあったら、ついテレビをつける

といったようなこと。
脳は過去の経験から「これ」に対しては「こうする」という法則を学んでいて、無意識のうちに体に指令を出しています。この脳の仕組みを「モデルフリーシステム」といいます。
ついスマホやテレビを見てしまって、やるべきことが後回しになっているならば、この「モデルフリーシステム」が働かないようにする必要があります。つまり「そもそも脳に余計なものを見せない」という手段が有効なのです。
具体的には

・勉強するときには、スマホや手帳など関係ないものを机に置かない
・ついテレビを見てしまうようならば、リモコンが目に入らないように定位置に片付ける

といったように、やるべきこと以外のものが見えないようにするといいでしょう。
複数のことを同時にこなしていると思いがちですが、実際のところ脳はひとつの作業にしか集中できないのです。

■次にやるべきことに、スムーズに取りかかれない

やるべきことがたくさんあって、何から始めていいか分からなくなることがありますよね。また、ほっと一息ついてしまったことで、次に動くのが億劫になることもあります。
たとえば

・会議が終わった後、議事録を書かなければいけないのに、そのままにしてしまう
・帰宅した後に資格の勉強をしたいのに、ついダラダラしてしまう

といったようなこと。
そんなときは「次の作業に少しだけでも手を付ける」という手段が有効です。脳には自分はどこに向かおうとしているのかを見定めて、体にどんな指令を出せばいいのかを判断する「フィードフォワード」という仕組みがあります。次にやるべきことにスムーズに取りかかるためには、この「フィードフォワード」という仕組みを働かせることが有効です。
具体的には

・会議が終わったら、すぐにパソコンの前に座り、議事録の日付だけでも書いてみる
・帰ってきたらカバンから資格の本を取り出して、机の上に置いてみる

というように、脳が次の行動を予測できるところまで、作業を進めてあげましょう。
この方法は、終わりが見えにくい不確定な作業をするときほど有効に働きます。予測できないことに取り組むときは誰でも不安になるものですが、そういうときこそ、少しだけでも手を付けておくと、やる気が出てくるかもしれません。
他にも、脳には「ミラーニューロン」という「他人の行動を無意識にまねる」という仕組みがあります。もしあなたの周りに「すぐやれない人」がいるとしたら、あなたは無意識にその人の行動をまねているかもしれません。そうならないためにも、すぐやらない人が視界に入らないように注意しましょう。

耳から入る情報を変える!

脳は耳から入る情報にも影響を受けています。特に自分が発する言葉の影響は絶大です。なぜなら、脳の思考は言葉を用いて行っているからです。脳は言葉によって動いているといっても過言ではありません。
また、脳の中で言葉を話す役割を担っているのは「ブローカ野(や)」という部位ですが、ブローカ野は体を動かすこと全般にも関わっていることが明らかになってきています。つまり、言葉を話す役割を担っている部位と、行動を指示する役割を担っている部位が同じなのです。ということは、話す言葉を意識的に操作することで、行動を変えることができるのです。
では、どんなことを話せば、すぐ行動に移せるようになるのでしょうか?
脳は、自分が経験したことや感じたことを、頭の中で考えるだけでなく、耳から聞くことによって、その次にどう行動すればいいのかを判断します。そのため、自分が経験したことや感じたことを誰かに話すという行為は、自分の行動を変えるための有効な手段になるのです。いちばんのおすすめは雑談です。自分が経験したことや感じたことを雑談することで、脳は次の行動をシミュレーションし始め、結果的に次の行動に移りやすくなるのです。
また、脳内でつぶやく言葉や実際に発している言葉も、内容により脳に与える影響が違ってきます。そのため、普段「疲れた」「忙しい」「大変だ」といったマイナスな言葉を使いがちな人は要注意です。脳はその言葉を聞くことで、過去その状態だったときの行動を命令してしまいます。「疲れた」ではなく「○○ができた」、「忙しい・大変だ」ではなく「○○をする」と、具体的に行動が分かる言葉に言い換えるほうが活力がわき、脳が「すぐやる」モードに変わるのです。

脳を正常な状態に保つことが基本!

以上のように、「すぐやる私」になるべく、脳を「すぐやる脳」に仕向ける方法をご紹介してきましたが、そもそも寝不足だったり、脳が新しい刺激を受け過ぎて疲れていたりする状態では、なかなか効果は表れません。自分にとって適切な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送り、脳を正常な状態に保つことも大切です。その上で、これらのことを実行してみてください。きっと「すぐやる私」になれるでしょう。


監修記事:菅原 洋平
作業療法士
民間病院の精神科に勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、脳の機能を生かした人材開発を行うユークロニア株式会社を設立。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開。その活動はテレビや雑誌などでも注目を集めている。
菅原洋平オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/activesleep/

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