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私の適職って何?ヒントは好きを仕事にする!

「やりたいことが見つからない、自分に合った仕事が分からない……」自分の適職を探すために悩んでいる人は多いのではないでしょうか。そんな人にとって、派遣の仕事は業種も職種もさまざまで、就業も限られた一定期間なので、自分に合った仕事を模索するのに適した場ともいえます。

そこで今回は、編集者であり、「好きを仕事にする」をテーマに数々の講演もされている、株式会社ロゼッタストーン代表の弘中百合子さんに「適職の見つけ方」や「好きを仕事にするために必要なこと」についてお話をうかがいました。

適職は自分の興味・関心から探る

編集部:
まず、弘中さんご自身はどのように適職を見つけられたのでしょうか。

弘中:
私が興味をもっていたのは、「自分の知らないことを知って、それを人に伝えること」です。20代の頃はそれにつながるような、さまざまな仕事をしました。放送局のレポーター、地方の新聞社の記者、自動車会社の販促、スーパーの販促……いろんな「伝えること」を経験していくうちに、「出版社の編集」という仕事に焦点が定まっていったのです。

若いうちは何が好きで、何に向いているのか迷ってしまいますよね。でも、1日の約3分の1、起きている時間の約半分は働くわけですから、仕事が自分に合っているかどうかは重要です。でも、頭でいくら考えても、何が自分に合っているかはよく分かりません。とりあえず、興味があることを実際に体験することで、答えが見えてくるのだと思います。

編集部:
なるほど。まずは手探りでもいいから、とにかく興味・関心のある分野でいろいろやってみることが重要なのですね。

弘中:
そうです。そのうちに、自分に合っているかどうかが肌で分かるようになってくるんです。好きな仕事はひとつに絞れなくても、好きな分野、興味のあるもの、やっていて楽しいこと、というのはあるはずです。ファッションが好き、車が好き、食べることが好き、人の面倒をみるのが好き、おしゃべりが好き……といったふうに。まずは、自分の好きなこと、関心のあることが何かを考えて、それを仕事選びの中で見つけて行動してみましょう。

好きなことが分かったら即行動が大事

編集部:
好きなことが何となく分かっても、行動する勇気が出なかったり、どうしたらいいか迷ってしまう人も多そうですね。

弘中:
まずは勇気をもって、興味のある分野で働いてみましょう。派遣はさまざまな仕事を経験するのに適した働き方ですし、スタートしやすいのではないでしょうか。実際に働いてみると、自分の知らない可能性や能力が開花されていきます。行動しなければ、何も始まりませんよね。

自分のやりたい業種や職種の求人がない……という場合もあるかもしれませんが、あまり業種や職種を絞り過ぎないほうがよいと思います。というのも、若くて経験の浅い人が知っている仕事の種類というのは、世の中に存在する仕事のごく一部でしかないからです。実際に働くことで、こんな仕事もある、こんな業種もある、と世の中の実態が分かってきます。

また、自分では事務しかできないと思っていた人が営業で大活躍したり、人と接するのが苦手だった人が店舗の販売員としてイキイキと働き始めたり……そんな素敵な例はたくさんあります。自分で「これしかできない」と決めつける必要はありません。

「大手企業」や「名前の知られた企業」にこだわる必要もありません。まずは働き、そこで満足できなければ、働いて得た知識や経験をもとに、さらにステップアップしていけばよいのです。考えて悩み続けるよりも、とにかく実際に行動することです。

編集部:
そうですね。好きなものを見つけたらこだわり過ぎず、広い視野をもって仕事を探すのがよさそうですね。仕事も見つけやすくなりますよね。

弘中:
はい。その気になれば、いろんな種類の仕事を試すことができると思いますし、「自分にこれは向かない」ということが分かれば、それだって立派な収穫です。

ただし、いったん仕事を始めたら、とにかく全力で取り組んでみることが大事です。 その中で、自分が何に向いているか、あるいは向いていないのか、何がやりたいのか、やりたくないのか、少しずつ見えてきます。ちょっとでも面白いと思ったことは、より一生懸命にやってみましょう。そこからさらに、本当にやりたいものが見えてくるかもしれません。

一生の仕事を見つける秘訣とは

編集部:
働き続けて、「これを一生の仕事にしたい」と思っても、本当に自分に合っているのか分からない場合はどうですか。

弘中:
働いていると、周囲の評価が気になったり、周りと比べて自分の仕事ぶりが劣っているような気がしたりして悩むものです。「自分は本当にこの仕事に向いているんだろうか」と。
向いているかどうかを判断するのは簡単で、あなた自身がその仕事をやりたいと思うかどうか、それだけです。

人には器用な人と不器用な人がいます。同じことをやるのにあっという間にマスターする人と、すごく時間がかかってしまう人がいます。私なんかは圧倒的に不器用なタイプ。なんでこんなに時間がかかるんだろう……と嘆きながら、他の人より時間をかけて仕事をこなしてきました。

どの業界でも、超一流になるには才能や運が必要ですが、「プロとしてそこそこの仕事ができる」ところまでなら、誰でも時間をかければ到達できます。なかなか思うように仕事ができないと悩んでいる人は、「仕事ができない」のではなく、「仕事ができるようになるのに時間がかかる」だけ。だから心配しなくても大丈夫。続けていれば、絶対道が開けてきます。でも、もしそれが嫌な仕事だったらがんばれませんよね。だから、自分が「やりたい」と思える仕事であることが大切なんです。

編集部:
自分に合っているかどうかは「やりたいと思える仕事かどうか」がポイントなんですね。後は突き進むだけ、ということでしょうか。

弘中:
そうです。「やりたい」ことを一生懸命やっていると、思いがけない展開になることもあります。私が出版社を設立したきっかけは、「こんな雑誌がつくりたい」と夢物語を熱く語っていたときに、「だったら自分で出版社をやれば? 出資してあげよう」と言ってくださる方が現われたことです。「雑誌をつくりたい」という夢はあっても、出版社をつくるなんて考えてもいなかったことでした。人生、何が起こるか分かりません。計算できないからこそ、面白いのかもしれませんね。

私が「編集」という仕事をずっと続けてこられたのは、非常に幸せなことです。それは私ひとりの実力というよりも、支えてくれた人たちがいたおかげです。一生続けたいと思える仕事を見つけても、大変なのはそれを続けること。そのためには、人とのつながりも大切にしてほしいと思います。

編集部より

ご自身の体験を振り返り、「やりたいことが見つからない」「自分の適職が分からない」という悩める若い世代に向けて、いろいろ語ってくれた弘中さん。「あれこれもがいた時期があったことで、自分自身が鍛えられ、人の優しさも知り、謙虚になり、人生が彩り豊かになったような気がします」と話してくれました。

もし、日常の中で少しでも「好き」と感じたり、興味・関心がある分野を探し出せたなら、弘中さんのアドバイスのように、まずは一度、チャレンジしてみるのがよい方法かもしれませんね。


記事監修:弘中百合子
1959年、山口県生まれ。広島大学文学部卒業後、地元放送局に3年勤務。いくつかのアルバイトを経て、28歳で上京。29歳で雑誌編集者に。1999年、(株)ロゼッタストーンを設立。雑誌『季刊ロゼッタストーン』、女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』、若手国会議員メルマガ『未来総理』などを発行。現在は単行本を中心に出版。最新刊は『ホラホラ、これが僕の骨―中原中也ベスト詩集』。著書に『女編集長起業奮戦記』(工学社)。

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