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同じアジアでもこんなに違う!文化で異なるオフィスランチ

同じアジアでも国や文化が違えば、ランチの内容も過ごし方もさまざまなようです。アジア諸国のオフィスワーカーたちは、お昼にどんなものを食べて、どんな過ごし方をしているのか、何だか気になりませんか? そこで今回はミャンマー、ベトナム、韓国、香港、シンガポールの5つのアジア諸国のオフィスランチ事情を取材。人気ランチメニューやレシピを紹介します。アジアの人々のランチタイムをのぞいてみましょう。

<ミャンマー>オフィスのキッチンで、みんなでおかずをシェア

ミャンマーの人たちは、自分のお弁当をひとりで食べきるのではなく、白飯を自分の前に置き、同僚たちとそれぞれが持参したおかずをシェアするスタイルが一般的。一緒にランチを囲む人数の増加につれて、おかずの種類も増えていきます。一軒家タイプのオフィスも多く、ランチタイムはキッチンでお弁当を広げる風景がよく見られます。とある企業でのランチタイムをのぞいてみましょう。

1. オフィスのキッチンで、おかずをシェアして食べます。

2. 毎朝、丸型の縦に重ねたお弁当箱を持って出勤します。

3. ミャンマーでは、2~3段重ねのランチボックス(お弁当箱)が主流。そのうちの1段には必ず白いご飯が入っています。

おかずの味付けには、ピーナツオイル、唐辛子、塩、魚醤、エビの粉などをよく使います。ミャンマー人は辛い物が好き。中でも「ヒン(カレー)」はほぼ毎日食卓に並びます。たとえば昨日は、「チェッターヒン(チキンカレー)」、今日は「ウェッターヒン(ポークカレー)」といった具合。牛は畑を耕す仲間という意識があるため、牛肉は好んで食べません。

4. 白飯、ニャペヒン(フィッシュボールカレー)、モンラーウーニーチョ(ニンジンを揚げたもの)

5. 白飯、ワンネイユヒン(ポークリブのカレー)

6. 白飯、ガーヒン(魚カレー)、ガズンヨェッジョ(空芯菜炒め)

職場の人々と毎日おかずをシェアすることで、人間関係にもいい影響がありそうな素敵な文化です。

<ベトナム>肉も野菜もバランスよく食べられる大衆食堂が人気

バイクでの移動が主流のベトナム・ハノイでは、もともとテイクアウトやデリバリーが盛んなこともあり、ランチはコムビンザンと呼ばれる大衆食堂で食べるかテイクアウトするのが一般的です。
コムビンザンとは、お店のおばちゃんが手作りした惣菜が並べられている中から好きなおかずをいくつでも選んで食べられるワンプレートランチのようなスタイル。バランスよく野菜も肉も食べられるのが一般的です。値段の表示はなく、いわゆる時価。選んだおかずの肉の量などによっても異なりますが、だいたい35,000ドン(約175円)から高くても60,000ドン(約300円)程度です。

7. コムビンザンのおかず

8. 7のおかずをチョイスして好みのワンプレートに

また、日本でも人気の牛肉や鶏肉のフォー、アメリカのオバマ元大統領が食べたことでも話題になったブンチャーなどを、郷土料理の専門店でサッと食べたりすることもあります。
フォーやブンチャーは、薄味の出汁のスープにヌクマムと呼ばれるベトナムの魚醤やスパイスなどが入っており、シソやパクチー、ネギなどの葉物のハーブ系野菜と一緒に食べるのが特徴です。フォーやブンチャーは、どちらも食べるのに時間がかからないので、イートインする人が多いですが、お店が混んでいたり、時間がなかったりする人はデリバリーやテイクアウトをします。
基本的に主食は米もしくは米麺で、日本と同じく出汁をとってベースをつくったやさしい味のおかずが多く、どれも人気があります。

9. ブンボーナンボー(南部の牛肉の麺)

10. ブンチャーのテイクアウトセット

11. トゥ アインさん(28歳・教師)のいつものランチ風景

12. ソイガー(鶏肉のおこわ なますとスープつき)

13. フォーボー(牛肉のフォー。フォーティンと呼ばれる人気店でイートイン。ティンさんがスープにこだわりをもって毎日仕込みをしていることでも有名)

ベトナムでは経済の発展につれて、国民の健康志向が高まり、コールドプレスジュースや、コンブッカ、ベジタリアンフードなどのお店も増えています。もちろんこちらもデリバリー可能です。

14. コールドプレスジュースとアーモンドミルク

15. コールドプレスジュースのテイクアウト・デリバリー用

16. スーパーフードや健康志向のジュースなどの専門カフェ

17. ジュース専門店のコールドプレスジュース

四季のあるハノイでは、寒い時期のランチに温かいスープで暖をとるのも特徴です。いまのオフィスワーカーたちは、外食やテイクアウトで約1時間のお昼休憩の間にランチを済ませますが、戦後食料が不足していた時代には、オフィスワーカーも学生もランチのために一度帰宅して、再度職場や学校に戻るのに約2時間はかかっていたといいます。

いまやベトナム料理は世界中で人気のあるランチメニューとなっており、パリやニューヨークでもファッションウィーク中にセレブたちがベトナム料理を食べることで注目を集めています。

<韓国>ほぼ外食ながら、ヘルシー志向でマナーもきっちり

韓国のランチで主流なのは外食。ソウルのある会社の調査によると、韓国の会社員は1週間で平均約4.7回は外食でランチをしているそう。昼ごはん代の1回の平均額は6,682ウォン(約686.90円)。オフィスワーカーに人気があるメニューは キムチチゲ、デンジャンチゲなどの鍋類です。もちろん韓国料理だけではなく、人気のベトナム料理屋さんへ行くなど、新しいスポットを巡っておいしいお店を開拓する人も増えています。ランチは日本と同じく基本は1時間程度。儒教の文化の強い韓国では、上司よりも早めにデスクに戻っているのがエチケットという人が多いようです。

また韓国には、栄養のバランスを考えたお弁当専門のお店が多数あり、ブランド化も進んでいます。安くて種類が多いため、大人気の有名な老舗ブランド店「HANSOT」 (https://www.hsd.co.kr/)は、今ソウルで流行中のお店です。ここ以外にもカンナム地域の中心部には、個人経営のおしゃれでおいしいお弁当屋さんがたくさんあります。

18

19

18、19は、韓国各所にある「Bon Dosirak」
http://www.eatinkorea.com/en/restaurant/bondo-sirak)の人気のお弁当

ボディーラインや健康を気にする韓国のオフィスワーカーの間で流行っているもののひとつに、30日分のプリペイド式のダイエット弁当があります。人気があって有名なのは「iamwell」 (http://iamwell.co.kr/)。

20. 「iamwell」のお弁当

「iamwell」のお弁当はいずれも、オフィスで食べるランチですが、デスクで食べ物の匂いをさせるのは無礼だと考える韓国人も多く、共有のカフェスペースなどで食事をとることが多いようです。

<シンガポール>手軽でリーズナブルなホーカーが人気

シンガポールのオフィスワーカーのランチ事情はさまざま。金融街で働くアジアのセレブたちはビジネスランチミーティングをおしゃれな高級レストランやカフェで行うこともしばしば。

21. 「RONIN」(http://ronin.sg)のeggs on toast。付け合わせが選べるスタイルで、これはスピナッチ(ほうれん草)を選択。おしゃれなカフェの多いシンガポールでのランチの一例。毎日ランチ時にはローカルのOLと欧米人駐在員でいっぱいになると大人気のお店

一方、シンガポールは食料品の大半を輸入に頼っているために物価がかなり高く、各オフィス街にそれぞれ存在しているホーカーで食べる人たちが多いのも特徴です。
ホーカーとは、シンガポールのソウルフードが手軽かつリーズナブルに食べられるフードコートのようなところ。シンガポールは、中国系、インド系、マレー系とさまざまな人種が住んでいる多民族国家。ホーカーで食べられるものもさまざまで毎日同じホーカーに通っても違うテイストの料理が選べるのがうれしい場所です。ホーカーの屋台には、安全性や衛生面のチェックが常にされており、4段階のランク別に屋台の看板のあたりにステッカーが貼ってあります。ローカルフードとはいえ、外国人も安心してランチを食べることができます。

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22~25はホーカーで食べられる食事

ランチ時間は基本1時間です。ホーカーの後、デザートとしてタピオカミルクやお茶などを買い、少しお腹を落ち着かせてからオフィスに戻る人もいるようです。

<香港>仕事熱心な香港の人たち。ランチは時短でサクッと

香港のオフィスワーカーたちのランチ事情は、とにかくサクッと。短時間でパッと済ませるのが日常。世界中の食文化が集まっている香港では、なんでも食べられるのが特徴で、ミシュランで星付きのお店や、タイ料理のお店などが最近のトレンドです。一方でクオリティの高いおいしいものが安く手軽に食べられるということもあり、ランチはやはりローカルフードがメイン。人気店はいつも大賑わいです。金融の街ゆえ、グローバルな生活時間帯のオフィスワーカーも多く、朝から晩まで常に混み合っているので、時短のためにテイクアウトを利用する人もたくさんいます。デリバリーでは、日本でも人気の「Uber eats」の他に「Deliveroo」「Food Panda」などが人気。甘辛い味付けのチキンと、チンゲン菜などの野菜の付け合わせは日本にある香港料理のお店でもおなじみです。

26. 香港人には定番の人気店「斗記」のランチ。値段は500円程度(1HK=14円)で、日本でいうワンコインランチ

27. 26の看板にあるDのメニュー。豆腐のみのヘルシーランチです

28. 26の看板にあるCのメニュー

29. 「TAIPAN」のスパイシーシュリンプヌードル

30. 以下の写真(31、32)「Cedel」 のヘルシーランチ。Warm grain の選べるセット。玄米や黒米など健康志向の炭水化物がベース


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香港は、温かい場所ではありますが、東南アジアののんびりした雰囲気とはまったく異なる文化があるのが特徴です。ランチはサクッと済ませてサッサと仕事場に戻る……労働時間世界最長といわれる街だけありますね。

手作りがおいしい! イチオシのベトナム料理レシピ

最後に、世界でも大人気のベトナム料理から、オススメ2品のレシピをご紹介。気軽に作れて、日本人の口にもよく合うメニューです。現地のオフィスワーカーのお墨付き、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

■お肉のロットリーフ巻き(Bo Nuong La Lot)
ハノイのコムビンザンランチで人気ナンバーワンのおかずです。

お肉のロットリーフ巻き(2人分)Bo Nuong La Lot

【材料】(2人分)
合挽き肉 牛:100g 豚:50g
ラーロット(ロットの葉) またはシソの葉

にんにくのみじん切り 小さじ1
紫タマネギのみじん切り 小さじ2
レモングラスみじん切り 1本分
ゴマ油 小さじ1
砂糖 小さじ1
ベトナム醤油 小さじ1
ヌクマム 小さじ1
塩・こしょう 少々

【作り方】
①ボウルに挽き肉、にんにく、紫タマネギ、レモングラスのみじん切り、調味料を加えてよく混ぜる。
②ラーロットまたはシソの葉の表を下にして挽き肉を置いて巻く。
③フライパンに油をひいて、両面を焼く。

※ラーロットとは、胡椒科の植物の葉
ベトナムではシソやコリアンダーなど、香りのあるハーブを料理に使うことが多い。

■鶏肉のフォー(Pho Ga)
牛肉のフォーよりも手間が少なく、ヘルシーで人気の定番のランチメニュー。

ハノイで定番のランチメニュー 鶏肉のフォー Pho Ga

【材料】(4人分)
鶏ガラ 1羽
水  2.5リットル

鶏もも肉  1枚
タマネギ 1/2個(紫タマネギでもOK)
皮付きショウガ 50g
シナモン 5g
グローブ 5個
ブラウンカルダモン 1個

調味料A  塩 大さじ2
砂糖 小さじ2
ヌクマム 大さじ2

乾燥フォー 240g
タマネギ 1/2個
もやし お好み
細ネギ お好み(ハノイではたっぷり多めが主流)
のこぎりコリアンダー お好み(通常のコリアンダーでも可)
ライムの葉 お好み
コショウ お好み

(トッピング)
赤唐辛子
ライム
にんにく、酢

【作り方】
<スープ>
①脂身をとった鶏ガラを熱湯でサッと茹で、水洗いをしてきれいにする。
②タマネギ、ショウガを半分に切る。直火で表面が焦げるまで焼き、焼けた皮をこそげて軽く潰す。
③スパイスは軽く炒って叩いて香りを出す。
④鍋に水(2.5リットル)を用意し、鶏ガラを入れて火にかけ、沸騰したら灰汁をとる。
⑤ショウガ、タマネギ、全てのスパイスをお茶用のペーパーパックに入れたものと、鶏もも肉を鍋に加える。
⑥スープの透明感を保つよう丁寧に灰汁をとって弱火にして1時間半煮込む。

⑦鶏もも肉は火が通ったら途中で取り出し、ラップをして冷ます。
⑧スープができたらこして調味料Aを入れて味を調える。

<具材の下ごしらえ>
①フォーを水につけて30分おく。
②のこぎりコリアンダーはざく切りにする。
③タマネギは縦半分に切って薄切りにする。
④ライムの葉は薄切りにする。
⑤細ネギは白い部分を10cmくらい切り分けておき、青い部分は小口切りにする。
⑥鶏もも肉を食べやすい大きさに切る。
⑦唐辛子は薄切りにし、ライムを切る。

<盛り付け>
①1人分ずつの分量のフォーを茹でて水気を切って器に盛っておく。
②もやしと細ネギの白い部分をサッと茹でてフォーの上に盛る。
③鶏もも肉、タマネギの薄切りと熱々のスープを器に注ぐ。
④細ネギ、のこぎりコリアンダー、ライムの葉、コショウを散らす。
⑤赤唐辛子、ライムを添え、お好みでにんにく、酢を加える。

まとめ

アジアのオフィスランチは、その国の文化や働き方によって、内容も食べ方もさまざまでしたね。みんなで楽しくシェアするランチもあれば、サクッと済ませるのが当たり前の時短ランチもありました。共通点としては、どの国も健康への意識が高く、一品の中に数種類の野菜が入っていたり、栄養が偏らないようおかずのチョイスが工夫されていたこと。国は違えど忙しいオフィスワーカーにとって体が資本というのは同じですね。ランチ文化を通して、それぞれの国で頑張って働く人たちの様子を垣間見ることができました。アジアで評判のランチレシピもぜひ試してみてください。

※この記事は2018年1月時点での情報です。


記事執筆:菊池眞希子
ミャンマー在住。新卒で総合商社に就職、社内報や広告、プレスリリースなど広報業務に従事。10年勤務後、結婚を機に退社。エディター・ライタースクールを経て、現在はヤンゴンにて「MYANMAR BUSINESS PARTNERS」の編集に携わる。

記事執筆:一色蘭嵐(いっしき らん)
編集者。大手出版社で活動した後、ウェブメディア立ち上げや広告・イベントのプロデュース経歴を持つ。現在は、最もそれが不似合いな駐在妻としてベトナム在住。東南アジアを始めとして世界各国を年中旅しながらワールドワイドな人間観察と異文化自由研究を行う日々。特技はベトナム語と中国語、趣味はキックボクシング、ジェムストーン集め、映画 。移動の多い生活ゆえにミニマリストに憧れながらも断捨離はトライ&エラーの繰り返し。

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