スキルを上げる

自分の考えを相手に伝えるのが苦手な人必見!頭の中を「言葉」にしてうまく伝える5つのステップ

さまざまな職場で仕事をする派遣社員にとって、働くうえで特に欠かせないのが、人とのコミュニケーション。会話だけでなく会議や文書作成などでも、もう少し上手に自分の考えを相手に伝えられたらいいのになあ、と思っている人は多いはず。

今回は、大東文化大学文学部准教授、山口謠司先生の著書『頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。』(ワニブックス)をもとに、「伝える力」を磨くためのヒントを紹介します。

「伝える力」が社会人としての評価を左右する

何かを人に伝えるとき、「なんて言えばいいかな」「こんな感じのことを伝えたいんだけどな」と悩むことはありませんか? 会話や文書で考えをうまく伝えられず、「何を言いたいのかわからない」「何を考えているのかわからない」と思われては、社会人としての能力も低く見積もられてしまうかもしれません。そこで、日々の生活の中で、「考えを言葉にして伝える訓練の場」を設けることで、「伝える力」を鍛える方法をご紹介します。「伝え方」で損をしないために、ぜひ実践してみてください。

<ステップ1>思考を整理して、明確にする

まずは、ぼんやりとした「考え」の中から伝えたいことだけを取り出す「思考の整理」が必要です。そのためにおすすめなのが、ふたつの軸を立てていく方法。

たとえば営業関係の仕事を担当しているなら、商品の内容(スペック)の軸と、お客さんのメリットの軸というように、自分の直面している問題や課題などによって、柔軟にふたつの軸を設定します。日頃から、自分の思考の形をふたつの軸に整理し、カテゴリー分けをして考えるトレーニングをしてみましょう。

<ステップ2>思考を言語化する

頭の中を整理できたら、次にアウトプットしてみる訓練をしましょう。
そのときにはこんな技が有効です。

・40文字でまとめる
・5W1Hを意識する

40文字は原稿用紙2行分。ダラダラと長い文章を書くのではなく、簡潔にまとめることが大切です。

5W1Hとは「いつ」「どこで」「何(誰)が」「何を」「どのように」。すべてをこの型に当てはめることはできないかもしれませんが、これらを意識することで思考を言語化する訓練になります。

書くことが見つからない場合は、読んだ本の内容をまとめてみることから始めるとよいでしょう。ほかにも、来週のミーティングでチームのみんなに伝えたいと思ったこと、観た映画のどんなところにどんな感想を持ったか、など、小さなことでも書き留めておくようにしてはいかがでしょうか。

<ステップ3>表現の幅を広げるための語彙力をつける

何でもかんでも「ヤバイ」で済ませてしまう人……。ひょっとしたらあなたの周りにもいませんか? 仕事相手との会話では、語彙力がないと情報が正確に伝わらず、相手を不安にさせてしまうことも。
語彙力を磨くためにおすすめしたいのは、

・あえて手書きの手紙を書く
・「詩集」「句集」を読む
・辞書で類語を調べる
・文庫本をお風呂で1分間音読する
・昔の新聞を読む
・専門用語やカタカナ語はメモする
・電子書籍で大量の文章に触れる

など。スマホ全盛の時代だからこそ、肉筆で手紙を書くことがよい訓練に。手で書くことで、言葉についてよく考え、語彙力が磨かれるのです。手書きで「清書」をすれば、パソコンなどで下書きをしてもOK。また、語彙力を高める最高のテキストが詩集などの文学作品です。中原中也、萩原朔太郎、北原白秋、大岡信などの作家は、豊かな言葉の世界を感じさせてくれるので特におすすめ。言葉に対する感性を磨いてくれます。

「昔の新聞」というのは、たとえば100年ほど前の新聞のこと。図書館に行けば、縮刷版の昔の新聞が閲覧できます。その時代の文章には、漢語にもとづいた美しい言葉が並んでいます。言葉は時代とともに生まれて入れ替わっていくもの。わからない言葉を調べ、同じような意味の、現代でも使える言葉を見つけることも、語彙力のトレーニングとなります。100年前の言葉と出会い、触れることで、言葉の成り立ちや進化など長期的な理解が深まり、語彙力を磨くことができるのです。

<ステップ4>ひとつ上の説明の技術を身につける

伝わりやすい文章のためには、次のような知識を持っていると効果的です。

・日本人のリズム五・七調を心がける
・オノマトペを効果的に使う
・親父ギャグで息抜きを

それぞれの言語には独特のリズムがあり、日本語には五・七調(七・五調)の言葉のリズムがしっくりきます。そのリズムで区切ると非常にテンポよく伝わりやすい文章になります。このリズムを体得するのに最適のお手本が「落語」。寄席に足を運んでみれば、生きたリズムを感じることができるはず。

「オノマトペ」とは擬音語や擬態語。「ビューっと風が吹き抜けていった」「骨までシンシンと寒さが沁(し)みる」など、ある状態を音で表す言葉のことです。

一般のビジネス文書ではオノマトペを連発することはふさわしくないかもしれませんが、たとえば新商品のプレゼンテーションを行うときなど、その場にいる人の五感を刺激するようなオノマトペを効果的に使うとよいでしょう。

また、百人一首の掛詞(かけことば)など、平安時代から日本人に脈々と受け継がれている「親父ギャグ(ダジャレ)」を会話の中に取り入れることで、聞いている側に「ふふふ」と笑ってもらえたりすると、息抜きとしてよいでしょう。

<ステップ5>もう一工夫で話を聞いてもらおう

そもそも、相手がいつも自分に興味を持ってくれているとは限りません。そんなときは、相手がよく知っているような話から始めて、まずは興味を持ってもらうことが大切。さらに、こんなコツを使うことで、話の内容が伝わりやすくなります。

・接続詞を効果的に使う
・結論を理解してもらうには「短く」「繰り返す」
・話の最初に、話の全容を数にして伝える

「というのも」「それはさておき」「ところで」「結局のところ」など、接続詞を効果的に使うことで、話の流れを作っていきましょう。相手を飽きさせないために、文章はできる限り短くして、キーワードを繰り返し使うことも効果的です。
「今日お伝えする大切なポイントは、5つです」というように、項目数を最初に挙げると、相手は話を整理しやすくなりますね。

まとめ

「文章がうまくなる」「人との会話やプレゼンが得意になる」には日々の積み重ねが必要です。まずは気軽に、自分が出会った知らない語彙をパソコンやスマホなどにメモすることから始めてみましょう。学生時代に習った、日本の文学作品を音読してみるのもおすすめです。たくさんの美しい言葉と出会い、プライベートでもビジネスの場でも、言葉を使いこなして「伝える力」を養っていきましょう。

参考:『頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。』(ワニブックス) 山口謠司

※この記事は2018年1月時点での情報です。


記事監修:山口謠司
大東文化大学文学部准教授。1963年長崎県佐世保市生まれ。博士。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。
ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。著書に『日本語を作った男―上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎賞を受賞、ベストセラー『日本語の奇跡』『ん』『日本語通』(新潮社)、『てんてん』(KADOKAWA)、『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)など多数。

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